社会医療法人 鴻仁会 岡山中央病院

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血管外科

外来担当表

血管外科

午前 担当医
(第3)
午後
※学会、手術等で休診になる場合がありますがご了承ください

特徴

血管外科は人工心肺を用いて治療しない全ての血管疾患を取り扱う診療科です。当外来は川崎医科大学総合医療センターとの連携で、豊富な経験を持つ専門医による適切な診断、治療を行っておりますので安心して診療を受けていただけます。
特に腹部に拍動性のしこり、足の冷感や歩行時の強い痛み、足のむくみや血管が浮き出ているなどの症状でお悩みの方は、大動脈瘤専門外来、閉塞性動脈硬化症専門外来、下肢静脈瘤専門外来を併設しておりますので、お気軽にご相談ください。
今後、下肢静脈瘤には特に力を入れてまいりますので、よろしくお願いいたします。

血管外科ドクターの紹介

下肢静脈瘤専門外来

よく「血管が浮いている」といいますが、足(=下肢)の静脈が太く浮き出ているものを「下肢静脈瘤」といいます。静脈瘤の多くは太くなっているばかりでなく、曲がりくねっています。
心臓への帰り道である静脈の中の血液は、重力に逆らって心臓へ、すなわち下から上へ昇らなければなりません。静脈の血圧は低いので血液の圧力だけでは上へ昇りきれません。そこで、静脈の弁とふくらはぎの筋肉が大切になります。脚の静脈には多くの弁があり、血液の逆流を防ぐことで常に血液を心臓に向かって流しています。
さらに血液を上に押し出すためにはふくらはぎの筋肉が重要です。この筋肉が収縮するたびに脚の静脈は圧迫され、弁と強調しながら血液を心臓まで運んでいきます。
静脈瘤は、この静脈弁がきちんと閉じなくなり、血液が逆流してしまう病気です。
はじめのうちは静脈が拡張や蛇行するだけですが、ひどくなると脚がむくむ、重くなる、疲れやすくなる、さらに進行すると脚が痛くなる、つりやすくなるなどの症状が出てきます。この様な状態が長く続くといずれ皮膚炎が起き、さらには治りにくい潰瘍(下図)になってしまうことがあります。以下のチェックリストを参考に静脈瘤かと思われたら一度受診をお勧めします。
当外来では、超音波検査などで静脈瘤の質的診断をして、川崎医科大学総合医療センターと連携し、症状にあった治療法を選択します。治療期間は、日帰りから2泊3日までの3パターンがあり、患者さんのご希望にあわせることができます。


下肢静脈瘤セルフチェックリスト

□足の静脈がポコポコと浮き出ている
□静脈が目立つ(足を見られたくない)
(ふくらはぎの内側、太ももの前面や内側、裏側、ふくらはぎの裏側など)
□脚がむくむ(特に夕方から夜腫れる)
□脚が重苦しい
□脚がよくつる(寝転がっているときなど)
□脚がしびれる
□皮膚が黒ずんでいる
□皮膚が硬くなり、かゆみがある
□皮膚に潰瘍ができる(だんだん拡がっている)

静脈瘤の分類(肉眼的所見)


CEAP分類C4a,C4b,C5,C6に該当する症例写真提示


下肢静脈瘤



下肢静脈瘤の治療法

1.弾性ストッキング

弾性ストッキングはむくみや血管の浮きなど、静脈環流障害の方が対象になります。足を圧迫することで血液のうっ滞を軽減することが目的で、静脈瘤の根本治療にはなりませんが、足のむくみや痛み、だるさなどの症状軽減、静脈瘤の予防にも効果があります。また症状の軽減具合で、表在静脈の血液が原因と診断することができます。弾性ストッキングは一般用と違い、静脈瘤治療専用の編み方で足をしっかり圧迫するように作られています。足のサイズに応じた治療効果が得られる圧迫力で使用いただく必要があり、足首とふくらはぎの太さを測らせて戴きます。

以下の手術は適応があれば川崎医科大学総合医療センターへ紹介の上、受けることができます。

2.硬化療法(最近はfoam硬化療法)

硬化療法は、硬化剤を静脈瘤内に注射し、皮膚の上から圧迫し、血管の内側を接着させて患部の静脈を閉塞させます。完全に閉塞した静脈は徐々に小さくなり、最後には組織に吸収されます。硬化療法だけでは治療しにくい静脈瘤には後述のストリッピング手術等と併用する場合があります。術後は弾性ストッキングを使用し圧迫します。硬化療法は外来で施術可能な手軽な治療方法であると同時に、再発のリスクや痛みやしこりが残る可能性もあります。なお最近ではfoam硬化療法が主流になっています。Foam=泡の名前の通り、硬化剤を液体ではなく泡状で使用します。液体の硬化剤は血液の中に混ざってしまい、効果を失いやすい面がありましたが、泡状にすることで、効果が得やすくなります。液体の場合は血液中での流れが速いため、注入後に圧迫する必要がありましたが、泡状では不要です。foam硬化療法の適応として再発静脈瘤や「クモの巣状静脈瘤」「網目状静脈瘤」などの比較的軽い症状、細めの「側枝型静脈瘤」等に有効です。

3.ストリッピング術

ストリッピング術とは、静脈瘤が発生している静脈を引き抜く治療で、主に伏在型静脈瘤という症状に適しており、大きな静脈瘤にも対応できるという特徴があります。そのため、2cm以上の静脈瘤の場合や静脈瘤が皮膚のすぐ下にある場合、レーザーなどで焼くのではなく抜き取ってしまうストリッピング手術が適用されることがあります。
手術は、足の付け根と膝の裏側の2カ所を小さく切開し、静脈弁の壊れてしまった血管の中に、手術用ワイヤーを通して血管と結んで静脈ごと引き抜く手術です。
下肢静脈瘤の原因となっている部分が、物理的に取り除かれることになるため、治療効果が大きく再発率が低いという特長を持っています。
現状はレーザー治療が主ですが、ストリッピング術のメリットとして、静脈瘤を抜きとることで再発の可能性が低く、レーザー手術に比べて再発の可能性がわずかに低くなります。

4.レーザー焼灼術


標準的なレーザー治療は膝関節辺りの表在静脈を穿刺し、静脈内に細いレーザーファイバーを挿入して大腿部のほぼ全長に沿って表在静脈を焼灼して静脈内腔を閉塞させ静脈瘤への逆流を断つ治療法です。下腿に静脈瘤が目立つ場合は、小切開で静脈瘤切除を追加します。低侵襲な治療方法で、ニーズの多い日帰り手術が可能です。合併症として深部静脈血栓症や静脈穿孔による皮下出血、創痛などがありますが、発生頻度は低率です。現在で最も効果的な1470nmレーザーを用いるため合併症のリスクはより少なく治療を受けて戴くことができます。保険が適応され、3割負担の場合片足:約50,000円、両足:約100,000円です